【コラム】ネイルと社会

「サロンへ行く理由、セルフで楽しむ理由」

プロ用品が個人で買える時代に、サロンへ行く理由

先日、ある企業からお電話をいただきました。ネイリストの方々を起用した宣伝施策のご提案で、せっかくなので詳しくお話を伺うことになりました。

会話の中で、sacraの商品がオンラインショップでも購入できるという話になったとき、先方からこんな指摘がありました。

「プロ用の商品を個人のお客様が買えてしまうと、わざわざサロンへ行く必要がなくなって、サロンでの購入が減ってしまうのではないですか?」

一瞬、なるほどと思いました。同時に、少し違和感も覚えました。今日はこの違和感の正体について、書いてみようと思います。

その指摘、半分正しくて、半分は見落としがある

小売チャネルと業務用チャネルが競合する、という話自体は一般論としてはよくあります。同じ商品が家庭でも買えるなら、わざわざお店に足を運ばなくてもいい——そう考えるのは自然なことです。

でも、ネイルサロンに置き換えて考えると、少し事情が違います。

サロンに通う理由は、「商品を持っているかどうか」だけでは説明できないからです。

サロンに行く理由は、商品を買うことではない

  • 技術という選択肢:デザインの再現性やフォルムづくりなど、プロならではの技術を求めて通う方がいます。
  • 時間の使い方:自分の時間を「施術してもらう時間」に充てたい、という方もいれば、自分の手で作り上げる時間そのものを楽しみたい方もいます。
  • 非日常の時間:美容院と同じで、ネイルサロンは「ケアされる体験」そのものに価値があります。
  • お気に入りの持続:サロンでの施術は、仕上がりの持続性という面でも支持されています。

つまり、プロ用の商品を個人が買えるようになったとしても、それを選ぶのは「自分の手でネイルを楽しみたい」という、サロンに通う理由とはまた別の楽しみ方をしている方々なのだと思います。

セルフとサロン、どちらも「好きの形」

面白いのは、プロ用商品を実際に自分の手で使ってみることで、仕上げの奥深さや技術のすごさに気づく方が多いということです。

それは「セルフだと劣る」という話では全くありません。むしろ、自分の手でネイルを楽しむ方たちがいるからこそ、プロの技術の価値もより鮮やかに伝わる。セルフもサロンも、どちらも「ネイルを楽しむ」という同じ気持ちから生まれた、別々の選び方なのだと思います。

サロン様へ

もし同じような疑問をお持ちのサロン様がいらっしゃれば、ぜひお伝えしたいのは、sacraは小売と業務用を「奪い合う関係」ではなく、「別々のニーズに応える関係」として捉えているということです。

セルフネイル層への商品提供は、むしろネイルという文化そのものの裾野を広げ、いずれプロの技術に価値を感じていただくきっかけにもなり得ると考えています。


今回の営業電話は、思いがけず自社の立ち位置を改めて言葉にする、良いきっかけになりました。日々の何気ないやり取りの中にも、ブランドとして大事にしたい考え方を再確認する瞬間があるものですね。

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